2章 悪魔の住む都

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旅に出て六日目の夜を迎えようとしていた。 六日の間は夜営をして夜を越した。三日目の夜に盗賊を捕まえて賞金を手に入れたので資金はある。ただ次の町に辿り着かなかった。天候が悪くなることもない。 旅路は順風満帆といえる。獣も襲っては来なかった。 食事も冬ではないので苦労はしなかった。ブレンディが狩りを率先してくれた。ブレンディの過去は得たいが知れない。国立図書館で出会っただけなのでアストはブレンディを不思議に思っていた。 ブレンディがアストのそんな思いに気がついたのが、川辺で夜営をしている時だった。 ティアラが眠ったあと二人で焚き火の番をする。 「そんなに私が気になるかい」 焚き火に薪をくべてブレンディが口を開いた。 「別にといったら嘘になる。料理や動物の解体なんてどこで覚えたんだ?」 「人間は知識を得て、それを実行する能力がある。本で半分、両親の指導で半分というところかな」 「あれか。見てればできてしまうのか」 「そうそう。大体ことはできてしまうよ」 「それは羨ましい」 「そうかい?」 「僕は見て、何度か練習してやっとだ。見ただけではできない」 「そう思い込んでいるだけじゃないのか?」 ブレンディが薪を炎に載せた。 薪が弾ける音が響く。
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