2章 悪魔の住む都

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「いや、物覚えは悪いよ」 アストは苦笑う。 「そうなのかい?」 「魔力があるのに魔術が使えないことがいい例だ」 「魔術、そうか、アストは魔術が使えないのか」 「まあね。色々事情があるんだよ」 「親に教えられずにここまで来てしまったということでいいのかな?」 「そう言うこと」 「大変だね。君も」 星空が綺麗な夜であった。野宿するに適した気温である。川のせせらぎがそばで聴こえる。風が焚き火の炎を揺らす。 「魔術は少しずつティアラに教わっているよ」 「私が仮眠している間だね」 「だけどどうにもうまくいかない。こんなんで悪魔とどう戦えばいいのか、焦ってる」 「西国までは後は三日はかかる。焦らずにひとつの魔術を完璧に覚えることだ」 「それができれば苦労はしないんだ」 「魔術のどこが難しいんだい?」 「内部にある魔力を現実に引き出すイメージをすることがいまいち掴めない」 「基礎じゃないか」 「こんなことで悪魔を倒せるのかな、僕は」 アストは項垂れた。 「時間が経てばお姫様の命も危うくなっていく。旅は急いだ方がいい」 「わかってるよ。わかってるけども」 「練習だけでどうなるものでもない。そうだ。ひとつ魔術を教えよう」
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