2章 悪魔の住む都

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「練習だけでどうにもならないのに、魔術を教えるって?」 アストは笑ってしまった。 「練習しなくても炎くらい作り出せるさ」 ブレンディが立ち上がって焚き火の脇に出た。 「簡単な方法は両手の小指をくつけて。水を掬うように構える。やってみるといい」 アストは半信半疑で、ブレンディの言うように両手をくつけた。 「そうしたら、中心を見詰めて集中する。炎を、火を思い浮かべる」 「それが難しい」 「色、熱、大きさ。順に焚き火の火を掌に描いていく」 アストは赤を、焚き火と同じ熱を、炎の大きさをゆっくりと思い浮かべる。 アストは掌にはっきりとした熱を感じて、声をあげた。 「熱いっ」 様子を見守っていたブレンディが笑った。 「できたじゃないか」 「できた?」 「はじめは熱を感じる。それが一歩なんだ。次は水、次は風、次は土。そうやってやれることを増やしていく」 ブレンディの掌に火球が浮かんで消えた。 「基礎力を応用して、炎で動物を作り出す」 ブレンディが闇を人指し指で叩くと炎の猫が姿を見せた。 アストは炎の猫を見詰めてしまった。 「魔術は──他にどんなことができるんだ?」 アストの質問にブレンディは炎の猫を焚き火に飛び込ませた。 炎が一瞬だけ威力を増した。
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