2章 悪魔の住む都

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「魔術にも法則(ルール)があることをティアラから聞いていないのか?」 「禁忌として時間は操れないとは聞いてるよ」 「そう、時間操作はどんな方法でもできない。神が与えた法則で一番有名なものだ」 「あと、蘇生もできないときいたよ」 「基礎だよ。迂闊に使って身を滅ぼした者がたくさんいる」 「ブレンディはさ、いろんなことを知っているな?」 「私はいろんな戦地を歩いてきたからね。魔術の学校にも行っていた」 「魔術の学校?」 「東国のアンバードに魔術専門学園がある。魔術師狩りに目をつけられないように結界を張っているんだ」 「そっか。いいな。僕も行ってみたかった」 アストは足を伸ばした。 焚き火の熱を仄かに感じる。 「楽しかったよ、けれども、毎日魔術師狩りの背景に怯えていた生徒もいたね」 「魔術師狩りは終わらないのか?」 「悪魔を倒せばもしかしたら終わる。私はそう言う仮説が好きだ」 ブレンディが欠伸を噛み締めた。 アストは懐中時計を見る。 そろそろ見張りの交換時間だった。 「ティアラを起こしてくるよ」 アストは馬車で寝ているティアラを起こしに出向いた。 ティアラは荷台で毛布にくるまって気持ち良さそうに眠っていた。綺麗な寝顔だった。アストはいつも躊躇いがちにティアラの肩を揺する。
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