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「魔術にも法則があることをティアラから聞いていないのか?」
「禁忌として時間は操れないとは聞いてるよ」
「そう、時間操作はどんな方法でもできない。神が与えた法則で一番有名なものだ」
「あと、蘇生もできないときいたよ」
「基礎だよ。迂闊に使って身を滅ぼした者がたくさんいる」
「ブレンディはさ、いろんなことを知っているな?」
「私はいろんな戦地を歩いてきたからね。魔術の学校にも行っていた」
「魔術の学校?」
「東国のアンバードに魔術専門学園がある。魔術師狩りに目をつけられないように結界を張っているんだ」
「そっか。いいな。僕も行ってみたかった」
アストは足を伸ばした。
焚き火の熱を仄かに感じる。
「楽しかったよ、けれども、毎日魔術師狩りの背景に怯えていた生徒もいたね」
「魔術師狩りは終わらないのか?」
「悪魔を倒せばもしかしたら終わる。私はそう言う仮説が好きだ」
ブレンディが欠伸を噛み締めた。
アストは懐中時計を見る。
そろそろ見張りの交換時間だった。
「ティアラを起こしてくるよ」
アストは馬車で寝ているティアラを起こしに出向いた。
ティアラは荷台で毛布にくるまって気持ち良さそうに眠っていた。綺麗な寝顔だった。アストはいつも躊躇いがちにティアラの肩を揺する。
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