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拳銃はメルラ貰った。
銃弾が限られているので試し撃ちも際どい。
それでも使ってみないことには本番で役に立たな
い。
重さが掌にある。
「私が悪魔を倒して全てを終わらせるのです」
「そこまで悪魔を憎んでいるのだね」
ティアラは頷いただけであった。
風が吹く度に炎が揺れた。
ティアラが片手で編み出した光にアストは見とれる。
「アストも作ってみてください」
「行きなり言われてもなあ」
「こう言うものは手早く作れないといけないのです。魔力を持っているならなおさらです」
アストは拳銃を腰のフォルスターに仕舞って構えを取る。
集中すること数分。
やっと光が浮かび上がる。
「遅すぎます。もう一度」
ティアラは光を消すと炎を作り出して夜に浮かべた。闇が明るく照らされる。熱が広がって昼間のような温かい空気が充満していた。
「僕の得意な魔術はきっと水だよ」
アストは両手から水を湧かせた。光とは違って数秒も掛かりはしなかった。
「なぜ、水だと?」
ティアラは興味津々と尋ねてくる。
「家系かな」
アストは歯切れ悪く答えた。
夢の内容が込み上げてくることが良くわかる。
母の面影も浮かんでくる。
「家系ですか──水が得意なら氷も扱えるはずですね」
ティアラは深くは聞いてこなかった。アストにはそれが落ち着いた。
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