2章 悪魔の住む都

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「ティアラは残って僕らに何かあったら国に伝えてほしいんだ」 「まあ、アスト。ここまで来て帰れというのですか。冗談でしょう」 ティアラの目がつり上がる。 「姫は僕が助ける。そう約束したんだ」 「悪魔の脅威も知らないで、無謀すぎます」 「二人とも、今はそれどころじゃない。先に進む他ないんだよ」 ブレンディが言い合いになる前に止めに入った。 ティアラとアストは口を閉じる。 「あの扉を潜るしかないことはわかっていることだ。馬車を走らせるよ。雨でも降られては大変だ」 3 不思議の国の扉 馬車を再び走らせて棘に包まれた正門へと近づいた。 正門の扉は固く閉ざされているようで棘を払ったあと門は開きそうもなかった。 ブレンディとアストで押したり、引いたりしてびくともしない。 堪り兼ねたティアラの魔術が生み出した火炎が扉を棘ごと焼き払った。 ティアラが先に門を潜る。アスト、ブレンディの二人は駆け足でティアラを追いかけた。 ティアラは敵を前に怒りを押さえきれずにいるようで前に進むだけだった。 三人の前に唐突に現れた扉さえ、ティアラは壊そうとした。 ブレンディがさすがに止める。 「大丈夫です、どうせ惑わしですわ」 ティアラがブレンディの手を払おうとしたが、ブレンディは離さなかった。
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