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「罠だとしたら厄介だと思わないかい?」
「しかしそれでは前に進みません」
アストは黙って思考する。どちらの言い分も一概に否定できなかった。
額縁を手にアストは他の道を探す。
「人間がなんのようだい?」
空から声が降ってきた。
三人は目線をあげる。
「姫様を返せ」
アストは怒鳴る。
呆れた笑い声が空中空響き渡った。
「生きて最上階にこれる?」
挑発するような状態であった。
アストはティアラ隣にブレンディヲ交互に見て意見を仰ぐ。
「勿論ですわ」
ティアラが真っ先に答える。
続いてブレンディが言った。
「どのみち乗り込むつもりだ。許可をありがとう」
「決まりだな。さあ、いこう」
アストは鉄の扉を押し開けた。
扉の先にあったのは扉だらけの空間でアストは単純に戸惑う。
生き物の済むべき所ではないということが直ぐ様わかった。
水気の消えた噴水広場に棘が巻きついた塀や壁に家屋と見られる建物は倒壊している。植物は枯れて踏みにじられている。地面には躯が転がっている。空には稲妻が走り、忙しない空気が漂っている。
「怖じ気づいたか。人間。逃げるなら見逃してやってもいいぞ」
悪魔の声が欺くように笑い続ける。
悪魔の声は子供のような無邪気さがあった。
そのことがアストは恐ろしかった。
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