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「悪魔の本当の姿を見るまではひけません」
ティアラが庭に入った瞬間、地面から這い上がったのは土人形であった。
背筋がぞっとするほどの大きさにアストは怯みそうになった。
土が盛り上がり、顔が円く赤い目を光らせた巨大な土人形が三体、拳を振り上げて地面を殴り付ける。
地響きに躯が跳ね上がった。
「芸術の檻」
ティアラの声に木々の根が反応して二体の土人形を縛り上げる。
「紅蓮奏歌」
残りの一体をブレンディが放った焔の矢が貫いた。
熱風が土人形を消し炭にした。
「アスト、続け!」
ブレンディが叫んだ。
アストは慌てて教わった通りに両手を合わせる。
「水竜」
呪文を口にすれば、アストの足元から沸き上がる水が竜の形成し、身動きできない土人形を喰らう。
骨の折れるような耳障りな音を響かせて土人形が崩れた。
最後の一体がティアラの束縛をほどいて、ティアラに向かう。
「──サウンズ《音色》」
ティアラの手が大きく振られた。爆風が土人形を包んだ。
土人形の頭が一瞬にして吹き飛ぶ有り様にアストは言葉もでなかった。
「序ノ口です」
ティアラが前へと進んだ。
「戦闘ができるなんて」
アストはティアラに聞いた。
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