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車イスの青年と、
その母親の後を追った “流美” は
いつしか、
『家族』 が住んでいる
“家” に辿り着いた。
流美は、
心配そうな面持ちで
スゥッ…と、
ドアをすり抜け
中へと入って行く。
すると、青年の父親が
玄関の “上がり段” に
腰を掛け、そわそわしながら
“二人” の帰りを待っていた。
「 おぉっ…!
やっと来たかっ……、
俺っ… こ、これから……
瑞穂達が運ばれた病院に…
行ってくるからなっ…!
急ぐからっ、
もう行くぞっ…!! 」
青年の父親はそう言って、
直ぐ様玄関を飛び出して行った
のであった。
( あっ…!?
行っちゃった………。
……おそらく…… あの人が…
瑞穂さんの “お兄さん” ね…。)
流美は、
慌てて車に乗り込もうとする
青年の “父親” を見つめながら
思っていた。
すると、
「 颯太っ…!
………颯太っ…たらっ!! 」
母親が、
自室へ戻ろうとする青年を
何度も呼び止める。
しかし
青年は “それ” を無視し
無言で部屋に入ると、
中からドアに “鍵” を掛けて
しまったのである。
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