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毎年この時期は地味にイライラさせられる。
巷に溢れかえる甘い香りと可愛らしい展示コーナー。
女の子の楽しそうな声と男同士の微妙な牽制。
バレンタインデー直前の土日から当日まで家の前には女の子が可愛い包みをもって待機している。
「あのっ」頬を上気させた制服姿の可愛い子が勇気を振り絞って声をかけてくる。
俺は玄関の扉を開いて中に声をかける。
「兄貴ー!同じ学校の女の子!」
「ホーイ!」
アホみたいな返事をしながら奥から出てきた兄貴と入れ替わりに家に入る。
リビングにはチョコレートの山が二つ。
「ちぃ兄お帰りー」
山の1つの前でほくほくした弟が迎えてくれる。
「相変わらず、すげえ量だな」
「今年こそは勝てるかと思ったけど、今の子が持ってきてるチョコで兄ちゃんと引き分けかなー」
などとのたまう。
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