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アホほどもてる兄弟に挟まれたら、モテない次男は卑屈になっても仕方ないと思う。
「ちぃ兄チョコ貰ったー?」
「聞くな(笑)」
これももう毎年のやり取りだからこっちも普通に笑い返せる。
「あんた鈍いから気づいてないだけじゃないの?」
どうやったらチョコという見て分かるものを貰っておきながら気づかないという鈍さを発揮できるんだよ。
呆れる俺の前で、こたつに入った母親がいそいそと弟の貰ったチョコを摘まむ。
息子の貰ったチョコを食うなよ。
毎年心のなかで突っ込むが、兄も弟も1ヶ月後に控えたホワイトデーの原資を確保するため、本命以外のチョコは甘党の母に献上している。
「よーし、今年は引き分けな」
外から戻ってきた兄がもらいたての包みをテーブルに置いて、包装を破く。
可愛らしいチョコを1つ食べると、さっと母に献上した。
とりあえず、一口は食べるようにしている辺り全部あげてしまう弟よりは誠実だ。
「俺ポテチの方が嬉しいけどなー」
「ニキビ増えるし」
ぼやく気持ちは分からなくはない。
「チョコだけより、ちぃ兄の作るチョコケーキのが好きだし」
「だよなー」
「金払え」
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