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本編
※ファンタジー/人外/蛙/現代設定
お社様の森
俺は最近、幼馴染の望月 彼方(もちづき かなた)の家に日参している。
もともと俺と彼方は小学校に入る以前からの友人であり仲が良かったが、わざわざ俺が彼方の家に放課後訪問するのには理由があった。
「ああ、由高君いらっしゃい。」
二人が連れだって望月家の玄関に入ると、一人の男が出迎えた。戯(そばえ)さんだ。
ああ、今日もかっこいい。そう思い俺はつい、じーっと戯を見つめてしまう。
こんな素敵な人と一緒に暮らせるなんて、彼方がうらやましいと思う。まあ、あり得ない妄想だなと自分を戒めて、戯さんに挨拶をする。
戯さんは彼方の親戚で、最近、望月家に居候のような形で住んでいるらしい。らしい、というのは彼方に聞いたがいまいち要領を得なかったからだ。20代後半くらいで、茶色い髪と彫りの深い顔立ちがモデルのようで、俺は何故彼のような男の人がこんな田舎に来たのか、いつも不思議でいる。
彼方の部屋に入り、ようやく緊張を解く。
「今日も戯さん、笑顔が素敵すぎる。」
その辺にあったクッションを抱えながらニヤニヤしてしまう。
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