本編

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すると時雨様は「別に様は要らんが、まあ、今はそれでいい。」と言っていた。 「その様子だと、儀式と由高の役目についても良く分かっていないようだな。100年という年月は人の子には長い。」 そう言って、時雨様は説明してくれた。 「この地が、もともと脆弱なのはさすがに知っておろう。脆弱な土地には邪なるものが引き寄せられやすい。それを払うために我等がおるのだが、元々我は神界の者はこちらの世界に干渉しにくくなっておる。そこで、人界の者を伴侶とすることでこちらの世界に干渉できるようにするというわけだ。端末となる人間に負担がかかるので、100年で、その夫婦は引退し、別の守手がまたこの土地を守るという仕組みになっておる。」 負担ってどういうことだろう?100年後とえらく先の話だけど、俺はいったいどうなるんだ?少し不安になっていると、別に痛みがあるとかそういうことではないし、100年後以降も普通に神界で暮らすらしい。 本当に、言葉通り『嫁入り』するだけということだろうか?それだと時雨様側に何のメリットも無い気もするが、神様というのはそういうものなのだろうか? 相手は好きな人で、神様で。だから、失礼のないように、たどたどしいながらも聞く。
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