本編

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ひんやりしていて気持ちいい。そのまま、目に触れないように頭の部分をぎゅーっと抱きしめる。 だって目の前にいるのは時雨様なんだから大丈夫と漠然と思った。 屈む様な姿勢になっているので一旦離れて、 「キスしていいですか?」 と聞きながら、自分の唇を時雨様の口先に合わせていく。 俺の唇と時雨様の口が合わさった時、熱い塊のようなものが俺の口の中に入ってきた。 【それが、我の魂の一部ぞ。そのまま飲み込め。】 その塊をゴクリと飲み込む。体中が熱い。はあ、はあというよりゼイゼイと息をして熱さを逃がそうとするがますます熱くなる。体を丸めてやり過ごそうとするが上手くいかない。すると、背中をさすられる。時雨様だ。そうだ、これは時雨様の一部なんだから大丈夫、そう自分に言い聞かせる。徐々に、熱が引いていく。 全く違和感がなくなり体を起こす。 時雨様と目が合う。 「これで終わりですか?そういえば印がでるんでしたよね?どこだろう…。」 自分の腕等を確認するが見当たらない。もしかして失敗したか?とあちこちを探す。 「大丈夫だ。顔に、紋章が出ている。」 時雨様は、社殿の奥に行き、祭壇に飾ってある鏡を無造作に持ってきて俺に見せる。 そこには右側額から目尻にかけてピンクの細かい花の模様が浮き上がっていた。 良かった……。
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