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この人が隣家の神様の“お嫁様”の轟さんだ。
轟さんは今からかなり前に生贄としてこちらへ来たそうだ。
こちらへ来た人間のほとんどが女性という中男同士であることと隣同士ということで仲良くさせてもらっている。
かなり急にこちらへ来ることが決まってしまい、釜戸など、電化製品など無いこちらの世界での生活様式になれない俺に、一から家事などを轟さんは教えてくれる。
「母さま、お客様ですか!?」
奥から、声がしてとたとたと轟さんに走り寄る生き物は、見た目は正に子犬そのものだ。
灰色の体毛に覆われた、狼の子供達が轟さんに駆け寄る。
狼の神様と轟さんの子供だ。
男同士であるのにどのように子供を作るのかは分からないが、おそらく神としての奇跡のようなものがあるのであろうと結論づけている。
「あー!!由高(よしたか)だー。ねえ、遊んで!!」
尻尾をぶんぶん振りながら由高に近寄る子供達に轟さんが叱りつける。
「人を呼び捨てにしない!!」
「別に俺、気にしないので大丈夫ですよ。」
「由高君が気にしなくても躾上良くないの!!」
せっかくの美青年が台無しという肝っ玉かあちゃんモードで轟さんが子供達を叱るのを見て少し羨ましくなる。
―――うちは子供どころか……。
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