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水浴び
※引き続き蛙です。
ある暑い日のことだった。
窓という窓を開け放ってもじっとりと暑い中、それでも一番涼しい座敷で汗を拭っていると、時雨様が俺の元へ来て俺を見下ろす。
こんなに暑いというのに時雨様は汗一つかいておらず、顔色もいつも通りだ。
「水浴びに行こうか。」
俺に気を使ってか、戯さんとして接して居た時の様な喋り方を時雨様は良くする。
本来のじゃべり方とは違うその言葉遣いに、申し訳なさと少しだけ懐かしさを感じる。
「水浴びですか?」
「そう。小川が近くにあるんだ。」
「俺、水着持ってないですけど……。」
どうしようか思案する。
そもそも、水着を履くという文化がこちら側にあるのかも分からないが、真っ裸で泳ぐわけにもいかないだろう。
「下このままでいいですか?」
川なのだから石とかもあるだろう。
今履いている短パンの裾を掴んで聞くと、いいんじゃないかとのことだったのでそのまま行くことにする。
まあ、濡れてしまってもこの暑さだ、帰りの道中で乾いてしまうだろう。
子供っぽいかもしれないが、ちょっとそういったことが楽しみだ。
時雨様に連れられてきたのは膝位までの水位の小川で、透明な清流は太陽の光でキラキラと輝いている。
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