本編

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彼方には、早々に俺の戯さんに対する気持ちがばれてしまっているので気が楽だ。 「本当に、お前、戯さん好きだなあ。……いい加減見てるだけじゃなくアタックでもしてみたら?」 呆れているような、でも困っているような、そんな微妙な表情の彼方にそう言われるが、あり得ない。 そもそも俺も戯さんも男同士だし、俺は高校生だし。せめて、俺が彼方のようにかわいらしい見た目や性格であったならばまだ、可能性はあったかもしれないが、175cmと、とても女の人とは思えない身長に女の人に間違えられようのない体つき、可愛らしいとは言えない顔、真面目だけど可愛げが無いといわれる性格、どれをとってもあり得ないとししか言いようがない。 「あー、また、何か碌でもないことでウジウジ悩んでいるだろう。由高は綺麗系でモテるんだし、悩むことなんかないだろう。」 「モテるのはお前だろう。」 彼方は人懐っこい性格とそのかわいい見た目で男女ともに絶大な人気がある。俺に少しでも彼方のようなかわいさがあれば、と思ったところでどうしようもない。 そもそも、あんなに格好良い戯さんと俺が釣り合うはずがない。 ただ、こうして少しだけ、戯さんを見ることができればそれで満足だ。そう思っていた。     
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