第47話「召喚師 VS 惑星魔術師」

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第47話「召喚師 VS 惑星魔術師」

いつになくやる気に満ちた私に、フェリシエル嬢が僅かに顔色を変えた。それを見て静観していた審判の魔術師が漸く口を開く。 「それでは只今より、今期新任派閥対抗代表選抜戦、第1試合を開始致します!」 アナウンスと共に両者スタンバイ。 「東!太陽の陣!!外交部執行課支援係第7班所属、“流星の愛し子”フェリシエル・ド・ローザンヌ!!」 「はい!」 呼ばれた彼女はリング東側に設置された太陽の模様の魔法陣への進む。 軽やかな足取りで陣を踏むと、刻まれた太陽が彼女の瞳の色と同じ鮮やかなエメラルドに輝く。 「続いて西!月の陣!!対外広報支援部より主任魔術師、ソルシアナ・ファウリア・ド・ベネトロッサ!!」 「はい!」 元気に返事をして月の模様の魔法陣へと進む。 ゆっくりと中に入るとそれは一瞬だけ赤く明滅し、やがてか細い青白い揺らめきを帯びた。 フェリシエル嬢の魔法陣が強烈な光を放つ所為か、私の方はその光に飲まれて輝いているのかも分からない。 少し怖い。 この魔法陣は魔術師の残りの魔力量を可視化するもので、現在は私もフェリシエル嬢もマックスの状態だ。 つまり、私と彼女の間には目に見えるだけでこれだけの差があると言う事だ。 戦う前から実力差を見せ付けられる。 彼女もそれは感じたのか、こちらを見てフンと鼻で笑った。 ……勝てるのかな、これ…… 先程の気概も虚しく、早くも呑まれかける。 しかし、そんな私の頭をルーちゃんがべシッと尻尾で叩いた。 「あいた!?」 一瞬、目から火が出るかと思った。 痛い……。 涙目で見上げると挑発的な光を宿した赤い目と視線がぶつかった。 「呑まれるな。召喚師の魔力量は従霊に対価として支払ってる分、どうしたって純粋な術式構築系の魔術師には劣る。だがその差が必ずしも、魔術師としての強さの比較にはならねえ」 「ルーちゃん……」 「怯えるな。俯くな。お前には、俺がいる。だろ?」 「……はいっ!」 しっかりと頷くと、彼はゆったりとした足取りで私のいる魔法陣を通り抜け、月の陣の正面に立った。 私とフェリシエル嬢の間に立つ。 背の高い彼の背中が目の前にあった。 いつもは隣にあるそれが目前にあるのは初めてではない。けれど、従霊として主を守る為に前に立つ彼を見るのは初めてだ。 それがこんなにも、心強い。
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