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第48話「ローザンヌの魔術師」
開始の合図と同時に彼女が動いた。
「『飛来せよ星屑』“シュート”!!」
右手の指先から緑の閃光が放たれる。
短縮詠唱!?
惑星魔術は短縮が効かないはずなのに!?
私の知る限り惑星魔術は神官の行う奇跡に近い、扱いの難しい魔術だ。惑星を神格化し、それを信仰する事で効果が生まれる。
祈りを省く事は出来ない。
それは神を冒涜する行為で、逆に命取りとなる。
じゃあ、これは?
この魔術はどうやって発動しているの?
もしあの詠唱速度でローザンヌ目玉の降臨術式なんて練られでもしたら、大変な事になる。
仕組みを解かなければ……!
脳裏に目まぐるしく考えが浮かんでは消える。
私のーー悪い癖。
その所為で反応が遅れた。
まずい!出遅れた!!
一条の光がシュィンッと甲高い音をたてて私に向かって飛んでくる。
いきなり一撃を貰うだなんて、油断した。
ルーちゃんに注意されたばっかなのに。
結界越しでも飛来するエネルギー弾が巻き込む周囲の風などは防げないし、当然ある程度の衝撃はある。
襲い来るであろうそれに耐えようと目を閉じる。
が、その前に
ドォンッ
バチバチバチッ
まるで花火が爆ぜる様な音がした。
しかし予想した衝撃はない。
目を開けるとーー
「っ!この馬鹿が!完全に出遅れやがって!!」
ルーちゃんが閃光を防いでいた。
その頑丈な身体で。
「ルーちゃん!」
「気を抜くな阿呆!次、来るぞ!」
見るとフェリシエル嬢が次の詠唱に入っていた。
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