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「『1つ、2つ、3つ……打てよ星屑』」
緑の光が再び彼女の手に集う。
拳大ほどの光の玉がビー玉くらいの大きさに集約され、熱量をあげる。
「許可を出せソラ!」
「!」
忘れてた。
従霊は勝手には動けない。
特にこうした魔術的な特殊フィールドの中では、主の命令がない限り行動が大幅に制限される。
「ルーちゃん!“迎撃”!!」
「了解だ」
私の命令に彼が応えると、私の中の魔力が一気に持っていかれる。
従霊に命令による対価である魔力が支払われた証拠だ。だが、そこで私は軽く瞠目した。
嘘。
ルーちゃん動かすのって、こんなに魔力摂られるの?!
普段彼に供給している魔力の比じゃない。
恐らく3日分は軽く持っていかれた。
という事は……彼は普段、恐ろしく低コストの対価で納得していたと言う事だ。
「腹減った。寄越せ」
そう言って摂られた魔力はごく僅か。
私が消耗しない程度だった。
今回は従霊登録されているので従霊として正当に戦う事になる。だからそのシステムが魔法陣を通して起動しているからか彼自身、供給量を調整できない。
でもだとしたら
ルーちゃん、今迄ずっと……?
思考を遮る様に、フェリシエル嬢の術が完成し放たれた。凝縮された高濃度のエネルギーが解き放たれる。高速の閃光が三条。
「“ライザー”!!」
雷撃の速さでこちらに向かう。
目を開けているのも躊躇われるほどの光量。
「舐めんなっ!」
その光にルーちゃんが拳を叩きつけた。
1本目はそれで霧散する。
高出力のエネルギーを、物理で消し飛ばすだなんて、とんでも技だーーしかし、あと2本。
他の2本は別の軌道を描いて私のいる結界すれすれに着弾する。
石畳が抉れ、その周囲が黒く焦げ付いていた。
……外れた?
てっきり直撃ルートだと思ったが、それは地面を穿っただけだった。
見ると彼女は僅かに顔を顰めている。
もしかして……!
「ルーちゃん、“攻撃開始”!コマンドは“お任せします”!!」
「ザックリだなおい!」
文句を言いながらも彼がフェリシエル嬢に向かって駆け出す。
速い!
あちらまで20m近くはあるが、それを一瞬で詰めた。
魔術師は得てして接近戦に弱い。
このまま結界に肉薄出来れは、ルーちゃんのパワーで押し切れる。
彼の拳が結界を捉えた。
いける!
そう思った矢先
「“テイズ・ウォール”!!」
「なっ……!」
突如として電磁波の波が壁の様に展開した。
あれはーー
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