第48話「ローザンヌの魔術師」

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「なら、やりようはまだあるな。こっちはこっちで勝手にやる。許可しろ」 「許可します!ルーちゃん、出来る限り私に“見せて”!」 「いいだろう。おい小娘、竜の装甲と体力、てめえに見せてやる。舐めんなよ?と。の、前にーー」 彼は尻尾で結界に触れた。 私の結界は彼の味方陣営なので弾き返すような効果は発現しない。 よく見ると、尻尾の先が何かを描く様に揺れていた。 同じ模様を3回。 恐らくフェリシエル嬢からは見えない位置に。 これは、ルーンだろうか? 私の知るものとは若干違う様だけれども。 「向こうの狙いも潰しとかねえとな」 不敵に笑うと彼は再びフェリシエル嬢へと突撃する。 待ち構えていたかの様に、彼女は高笑った。 「はっ!馬鹿の1つ覚えですわね!低脳雑霊(イノム)!貴方の攻撃など通りはしなくてよ!!」 「ほう、そうかい。なら……試してみるか!?」 「お黙りなさい!展開、“テイズ・ウォール”!『1つ、2つ、3つ。打てよ星屑』“ライザー”!!」 再び展開された電磁波の壁。 放たれた三つの光。 壁に当たる前にルーちゃんは素早く方向転換。 無理に方向を変えようとした為か、彼の踏ん張りに耐えきれなかった石畳が砕ける。 跳ね上がる石の欠片たち。 それを目で追うと、彼は空中を霧散する複数の欠片を正確に補足し、弾き出した。彼の指に弾かれる瞬間、小石は意思を持つかの様に赤い輝きを宿して弾丸の様に真っ直ぐ彼女の方へと突き進む。 付与魔術……!? 爆散中の小石を目で補足し、弾くだけでもとてつもない動体視力と反射神経が必要になるのだが、彼はそこに魔力まで付与して見せた。 詠唱なしの即時発動型エンチャント。 付与魔術師も驚愕の高等技術。しかし放たれたそれは全て電磁波の壁に阻まれる。 「無駄ですわ!踊りなさい!『走れ、穿て、砕け散れ。六つの流星、諸共に』“スターゲイザー”!!」 更に詠唱が続く。詠唱完成間際になると、彼女は壁の魔術を解除した。 腕を高々と掲げると、真昼だというのに空から6つの閃光が飛来してくる。その中心が何やら黒く煌めいた。 違う。 あれは閃光なんかじゃない。 「ルーちゃん!避けて!!」 「……チッ!」 持ち前の運動能力を最大限に駆使して緊急回避を行う。しかし、降ってきたそれの1つが掠る。 その他はバラバラと別の場所に着弾した。 ジュッと肉の焦げる音がしたかと思うと、彼の右のこめかみから血が流れた。
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