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「どう、して……」
尋ねると彼は酷く疲れた表情ではあるものの微かに笑い
「言ったろ。竜種の装甲と体力舐めんな、ってな」
「まさか……“超再生”!?」
彼の言葉にフェリシエル嬢が瞠目した。
「そんな馬鹿な……!まさか、あれを受けて、装甲が無事だったとでも言うのっ!?」
「はん、当たり前だ。竜の鱗は本来、溶鉄の温度にも耐える。まあ、今はそれ程頑丈じゃねえが……それでも“再生しながら耐える”事くらいは出来んだよ」
「そんな、無茶苦茶な!!」
甲高い声で現実を拒否する彼女。
一方で置いてけぼりの私は彼に問うた。
「どういう、事、ですか?」
私の声に赤い瞳が向けられる。
「説明した通りだ。確かにアレは超高温の熱で鱗を溶かし、肉を焼き骨を溶かす。が、焼かれる端から適時再生してりゃ、今の俺でも耐えられねえ事はねえ。……まあ、お陰で折角小細工して溜め込んだ魔力を、軒並み使い切っちまったがな」
ほんと参った。と苦い口調で語る。
「……じゃあ、もう……大丈夫……なの?」
「あ?ああ。見ての通りだ」
ピンピンしてる。と、彼は尻尾を振った。
フリフリと好調に揺れるそれを見て、私は緊張と安堵と、その他諸々の感情が決壊し、ボロボロに泣きじゃくりながら彼に抱き着いた。
「ルーちゃぁあんっ!!」
「うおっ!?な、なんだ!?」
「うぇえん……!良かったよぉう……!」
「あ?ああ?」
何故私が泣いてるのか分からずに戸惑う彼。
そんな姿も嬉しくて、私は人目も憚らずに大泣きした。
「あー……なんか良く分かんねえけど、よしよし、泣くな泣くな」
「うぇえん……!」
「だーから、泣くなって……」
心底困った様子の彼にしがみついていると、呆然としていたフェリシエル嬢がハッと我に返った。
「ま、まだよ!まだ、終わりではありません!!」
「あ?なんだ。まだやんのか?」
「当たり前です!依然私の優位に代わりはありません!!それなのに、勝負を投げる必要など、どこにあるというのですっ!?」
「つってもテメェの魔力、もう素寒貧だろうが」
「なっ!!」
指摘を受け彼女は盛大に固まる。
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