あとがき

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 ただ、政治家としての峻介に一本筋の通った信条があるとすれば、それは彼の父が語った、「生きていくことは厳しいもの。その厳しさを和らげるのが国家であり、政治」という言葉に尽きます。  彼がその信条に従って行動する政治家であるということだけは、「真面目か」というぐらい、ぶれずに書くことに努めました。  そして漣もまた、自身の腕ひとつで生活を支えるというプライドと心意気に従って生きている男の子です。  鳶という仕事は、これまた調べれば調べるほど凄い仕事で、その魅力を、天宮漣という青年を通じて少しでも伝えられていればと思います。…いや、なかなか伝えきれなかったというもどかしさが、実はいまだにあるのですが……。  そんな2人のことを、たくさんの方が見守って下さり、時には言葉にして応援して下さったことは、本当に嬉しいことでした。長い間作者の中でしか生きられなかった2人が、多くの方に読んでいただくことで、ようやく本当の意味で生きさせていただけたような……決して大げさではなく、そんな感慨を覚えています。  それだけに、書き終えた時は本当に寂しくてしょうがなかったです。連載を始めさせていただいてからは特に、ほとんどの時間を視点人物である峻介の目で物を見、考えながら過ごしていました。峻介の視点で書くことはこれでもう終わりなので、長い間自分の一部であったものが消えてしまったような寂しさが、いまだに消えません。  とはいえ、いつまでも寂しがっているわけにはいかないです。実は、お気づきの方もいるかもしれないのですが、本編の中で、ラストを迎えてもなお回収しきれなかった事柄がひとつ残っています。  そのあたりのことを、今度は漣の視点でアフターストーリーとして書かせていただこうと思います。  更新の予定が決まりましたら、トップページやコメント等でお知らせします。その時には、もうしばらく、この物語にお付き合いいただければ嬉しく思います。 2018年7月14日  小椋水緒 拝 追記:2018年8月25日 アフターストーリーを開始します。次項より、お読みください。 お楽しみいただけると幸いです。
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