アフターストーリー1

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 昨夜、遅く帰ってきた恋人に、寝込みを襲われた。  恋人の峻介はこのところ激務に追われ、触れ合うこともままならない日々が続いていた。睡眠も足りていないはずで、昨夜もそんなことよりまず眠るべきだったのに、とうとう、我慢ができなくなってしまったらしい。  そうなってしまうと抑えがきかなくなるのは漣も同じで……。  既に自室で眠っていた漣だったが、突然ベッドにもぐり込んできた恋人に、甘く甘く身体をまさぐられて、あっという間に眠るどころではなくなってしまった。結局、誘われるままに彼の部屋に場所を移して抱かれたのだった。  なぜわざわざ場所を移したのかというと、そちらの方が息子の部屋から離れていて、気配を悟られにくいからだ。  大志はちょっとやそっとじゃ起きない子供だが、用心するに越したことはない。自分と峻介が恋人同士であることは彼も子供ながらに理解してくれているが、こうしたこととなると、やはり話は別だ。普通の夫婦が子供に悟られないよう気をつかう以上に、気をつけなくてはならない事柄ではある。  とはいえ、朝まで自分がこの部屋にいては、せっかくの用心も台無しなわけで……。  いつもならば漣は、すべてが終わった後は必ず自分の部屋に戻って眠りにつくはずだった。しかし昨夜は久しぶりだったせいか、いつになく長く激しく抱かれ、いつ意識を手放したのかも思い出せない。どうやら疲労困憊の末、恋人のベッドで眠り込んでしまっていたらしい。  そこを子供に起こされるとは……。  天宮漣、一生の不覚だ。  はああ、何やってんだ俺……。彼は再び深くため息をつく。  ただでさえ今日は、何だか気の重い1日になりそうな気がしてるのに……。
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