アフターストーリー11

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 結局、その後すぐに大志が帰ってきて、漣はどうにか気持を落ち着けることができた。  もうすっかり馴染んだ台所で、昼食のテーブルを囲む。メニューは里芋や蓮根、キノコなどが入った秋野菜のカレーに、玄米のライス、そして手製のピクルスだった。  ここでも大志は旺盛な食欲を見せる。この2日間での野菜の摂取量は、この子供の人生で最大だったかもしれない。  午後は再び畑の収穫を手伝ったり、大志と山道を歩いたりして過ごす。そして、翌日の学校や仕事のこともあり、夕方の早い時間に草准宅を辞することになった。  たった2日間を過ごしただけなのに、なんだかもう寂しくて仕方がない。来るときはあれほど気が重かったのに、まったく現金なものだと漣は我ながら可笑しくなる。 「また、いつでも来るといい」  採れたての野菜や手作りの保存食などがどっさり入った大きな箱を峻介に手渡しながら、草准は笑って漣に言った。 「なんだったら、恋人抜きで来てくれてもかまわない。いや、むしろひとりで来てくれたほうが……」 「それは絶対、駄目だ!!」  峻介が鋭い声で叔父の言葉をさえぎり、またしても漣を呆れさせた。
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