アフターストーリー13

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「あ……ん……んっ――」  反射的に峻介の胸に顔を埋め、どうにか声を殺した。震える身体としがみつく力の強さに、峻介も何が起こったか気づいてしまったらしい。しかし、ここで触れればよけいに漣が恥ずかしがることをわかっていたのだろう、彼はただ、漣を抱きしめたまま、波が去るのをじっと待ってくれた。  しかし触れられずに達したためか、もどかしいような快感はすぐには去らない。いっそ触ってくれればいいのにと思ったほどだ。  気がつけば無意識に刺激を求めて、恋人の腰に自分のそれを強く押しつけていた。もう、恥ずかしいと思う余裕すらない。広い肩に抱きついて、何度も全身を震わせるしかなかった。  ようやくすべての波が引くと、全身の力が抜け、崩れ落ちそうになった。その身体をすくい上げるように抱きしめられ、恋人の胸の中で漣は何度も息をつく。強い快感の余韻に、涙がにじんだ。  自分でも信じられない。キスだけで達かされてしまったなんて。 「ご……ごめ…ん――」  まだ息が上がったまま、漣は恋人を見上げ、どうにか詫びた。 「俺、ほんと感じやす過ぎ……。やっぱ、おかしいのかな……」  漣を見つめたまま、峻介は「いや…」とかぶりを振った。その整った顔が、わずかに苦しそうな、困ったような表情をを浮かべている。 「可愛すぎて……死にそうだ……」  再び漣を抱きしめてその首筋に顔を埋め、掠れた声で、恋人はつぶやいた。
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