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「あ……あっ――。や…っ、城築さん!!」
再び入ってきた恋人に、浅い場所を抜き差しされ、漣は声を上げた。
固く張りつめたものが、感じる場所を何度も軽くかすめて去ってゆく。決して奥へは来てもらえないもどかしさに、あっという間に気の狂うような心地にさせられる。
どうにもたまらず、思わず自ら腰を動かして、どうにか深く繋がろうとした。しかしその動きすら容赦なく押さえつけられて止められ、泣きそうになった。
「や…だっ!! もっと……」
思わず涙声でねだってしまい、恥ずかしさにかっと頭に血が上る。峻介は一瞬、軽く目を瞠って漣を見たが、唇の片端を上げて答えた。
「漣、可愛いが、駄目だ」
いつも優しい恋人の意地悪な表情は、とてつもない破壊力だった。
甘い顔立ちに浮かぶ酷薄な笑みが、たまらなく色っぽい。目が合うだけで甘い痺れが背筋を駆け抜け、もう、何がなんだかわからなくなる。
「峻……!」
思わずぎゅっと目をつぶり、叫ぶように名前を呼んでいた、
「峻!! 頼むから…っ――」
とたん、強く抱きしめられ、ぐっと奥へと突き上げられる。そのまま激しく揺さぶられ、漣もまたその身体にしがみついた。
「漣……もう、いきそうだ……」
いくらもたたないうちに絶頂を訴えるその声が、さっきまでとは別人のように欲情に震え、掠れている。
自分が名前を呼ぶだけで、この人はこんな風になるのだ。とたん、嵐のような愛しさと快感が押し寄せてきた。
「俺も……っ、峻――」
何度もうなずきながら答えを返すと、峻介は痛いほどの力を漣を抱く腕に込めた。そのまま深い場所を突かれ、たまらずぎゅっとしめつける。その瞬間、絶頂の波がほとんど同時に2人をさらう。
自分の中でようやくはじけた欲望の熱さに悶えながら……。
気がつけば漣はもうためらいもなく、愛しい恋人の名前を、何度も繰り返し呼んでいた。
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