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カウンターに置かれたその表紙を勧められるままにめくった瞬間、峻介は心の中で叫んだ。
ま……マジ天使じゃないか!!
若い母親に抱っこされた赤ん坊の頃の写真、つかまり立ちをしながらこちらを見て笑う写真。愛らしい顔立ちをした幼い恋人が、ページいっぱいに無邪気な笑顔の花を咲かせている。
しかも、峻介の恋人はやはり、ただ可愛いだけではないのだった。
成長するにつれ、少しずつ頬の輪郭がシャープになり、その瞳は次第に強い光を宿し始める。保育園の頃ぐらいからちょっと生意気そうな表情を浮かべるようにもなり、小学校に上がる頃にはすでに、幼いながらどこかいっぱしの男を感じさせる顔をしているのだ。
そんな変化ですら、峻介にはもう愛しくてたまらない。静子があれこれと思い出話を語るのを片耳で聞きながら、視線は成長してゆく恋人の姿に釘付けである。
小学校6年生にもなると、漣はもう完璧な美少年だった。いや、決して絵に描いたように完璧な美しさではないのだけれど、今の漣と同じように、そこがむしろ魅力で、その表情、たたずまい、全てに惹きつけられるのだ。
同じ年頃の子供たちの中にいても、その姿が際立って見えるのは、決して恋人の欲目ではないだろう。きっとその頃から女の子にも相当人気があったはずだ。
この歳ですら、こんなに魅力的なのだ。これから、中学、高校と、どんな姿を見せてくれるのだろう。わくわくしながら、次のページをめくる。
しかし至福の時は、そこで唐突に絶たれた。
「静子さん……」
峻介は少しばかり情けない声で姑にたずねた。
「この続きは、ないんですか?」
「ないのよ」
静子もまた、心底残念そうに答える。
「このあたりから、もうね、写真なんて撮らせてくれなくなっちゃって……」
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