2732人が本棚に入れています
本棚に追加
/425ページ
もう何も考えられない。
そっか……気にしなくていいのか……ぼうっと霞む頭の中でつぶやく漣に追い打ちをかけるように、「可愛いな、漣」と再び耳元で囁き、もどかしげな早口になって、峻介は話し続ける。
「僕は一度でいいから、この姿の君を抱きたいと思っていたんだ。会えない間、夢の中で何度も抱いたよ。まさかそれが正夢になるとは思いもしなかったが……」
そんな大胆なことをさらりと言われ、漣は真っ赤になって恋人を見上げる。峻介は、たまらない……といった風に目を細め、痛いほどの力で漣を抱きしめた。
再び激しく唇を奪われ、貪られる。頭に巻いたタオルが落ちて、くせのつかない髪がさらさらとこぼれ落ちた。その髪に指をからめ、何度も梳き上げられるその感触にすら昂ってしまう。不意に腰を押し当てられ、自分の中心が恋人のそれと同じぐらい、固く張りつめていることに漣は気づく。
そのまま、熱く昂った自身のそれで漣を甘く甘く刺激しながら、峻介は欲情に掠れた声を、吐息と共に漣の耳に送り込んだ。
「漣、僕はもう我慢できない。今すぐ……君が欲しいんだ。君は、嫌か?」
「ず……るいよ……。城築さん……」
立っていられないような気持良さに息を乱しながら、漣は声にならない声で言葉を返す。こんな状態で、嫌なんて言えるわけがない。
とうとう自分で自分を支えられなくなり、漣は峻介にぎゅっと抱きついた。
「あんたがいいなら……っ、もう……何だっていいよ!! 俺だって我慢できない!!」
恋人の胸に顔を埋めたまま、叫ぶように答えると、ドン、と音を立てて壁に押し付けられた。
そうして、タンクトップの中に入ってきた大きな手に、狂ったように肌をまさぐられる。刺激を待ち受けていた胸の尖りを強く吸われ、思わず甘い喘ぎが漏れた。すぐそばにある玄関ドアの向こうがやっぱりどうしても気になって、必死に声を殺そうとするのだけれど、どうしたって、止めることなどできない。
最初のコメントを投稿しよう!