番外編『Long Long Distance』あとがき

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番外編『Long Long Distance』あとがき

 『君に恋のチカラを』番外編、『Long Long Distance』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。  お気づきの方もいらっしゃると思うのですが、このお話の始まりは、スーツ×ゴト着(鳶服)を書きたい!! どうしても書きたい!! という作者の情熱でした。  とはいえなかなかその姿では抱き合ってくれそうにもない2人。どうすればよいか必死に、ない知恵をしぼりました。  そんなわけで峻介には遠い遠いヨーロッパに出張していただき、漣の親会社の事務員にはとんでもない発注ミスをやらかしていただき、さらには国際線を一便欠航にまでして、どうにかお膳立てを整えました。  帰って来たばかりの峻介の元にゴト着姿の漣が飛び込んできた時は「よっしゃ!!」と思ったものです。  なのに、そこから先が(作者にとっての)本当の試練だったとは……。  後は情熱に任せて突っ走るはずの2人だったのに、何しろ場所が場所だけに、2人ともいろんなことを気にして突っ走れない。ひょっとしてこれだけ時間があれば寝室に行けたんじゃ…と、書きながら思わずにいられませんでした。  もしかすると、読みながらそう突っ込まれた方も多々いらっしゃるのではないかと思うと、身の縮む思いです。  でも、まあ、これが2人なのかな……と、書き終えた今、作者は思っています。  情熱に任せて一度は走り出したものの、互いを大切に思い合う2人だからこそ、そのまま突っ走るわけにいかず、そのせめぎ合いの中でのこうした行為もまた愛かなと……。  最終的には愛があふれるシーンが書けて(…のはず)、ほっとしています。皆様にとって、このシーンが少しでもお楽しみいただけるものとなっていることを、今は祈るばかりです。  このシーンでは少しばかり苦戦しましたが、今回久しぶりに2人+1を書けたことは、本当に楽しかったです。  ことに大志の成長ぶりは目覚ましく、恋人との別離に沈む父親にサンドイッチを作ってあげたり、学校でも何気にモテていたり、もはや小さなスーパーダーリン。思いがけないほどの存在感を発揮してくれました。  そして峻介がLGBTに関わる仕事で海外に旅立ったことで、2人の間で深まる理解と絆を思いがけず書けたのも嬉しいことでした(…いや、最初はひたすらスーツ×ゴト着しか頭になかったもので)。今回初めて峻介と漣の両視点でお話を書いて、バランス的には難しいところもあったのですが、それぞれの場面で2人の思いを丁寧に書くことができたかなと思っています。  最後になりましたが、今回もたくさんのスター、閲覧、コメント、ファン登録等をありがとうございました。本当に励まされました。  さらなる感謝の気持と、今後のことについては、つぶやきの方に書かせていただきました。また少し先になるかもしれないのですが、再び皆様にお会いできることを、心より願っています。 小椋水緒 拝
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