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でもこいつ、仲間を作るのは、ほんと上手いんだよな……。自分と離れた場所で周囲の子供たちに話しかけながら着替え始めた内田少年に目をやり、大志は思う。
とくに男子には好かれるらしい。この単純でわかりやすい性格が魅力なのか、クラスのやんちゃ系の男子はたいてい、兄貴か親分のように彼を慕っている。大志がもし大人なら、「人心把握に長けた」という言葉が浮かんだかもしれない。
とにかく、そこはもう素直に感心してしまうところなのだ。
それに……大志はふと思い出す。サッカーも上手い。体育の授業で見た足さばきには、ちょっと感動した。その点も、球技があまり得意でない大志には羨ましいところだった。
頼んでみてもいいかもしれない……大志は思った。
サンタを信じてるぐらいなんだから、本当に素直な奴みたいだし。
人には表と裏があり、悪いところも良いところもある。そのすべてを認めることが、人とうまくやってゆくコツだと僕は思う……。
いつかそんなことを大志に話してくれたのは、峻介だった。
その言葉に影響されてか、大志は常に周囲の子供たちの様々な一面に目を配るようになっていた。そしてそのことは、知らず知らずのうちに彼を助けることになっていたのだった。
その日は学童保育の教室でも、ささやかなクリスマスパーティーが催された。大志は様子をうかがい、短いパーティーが終わって皆がグラウンドで遊び始めたところで、声をかけてみることにした。
「内田、2月のサッカー大会のこと、知ってる?」
まさか大志の方から話しかけてくるとは思わなかったのだろう。ぎょっとしたような顔で、少年は大志を見た。
2月、地域の学童保育対抗のサッカー大会がある。かなり大規模な大会で、毎年熱く盛り上がる。先生たちの熱の入れようもかなりのもので、実はこれが大志には頭の痛いことなのだ。
相手の無言を肯定と受け取り、彼は続けた。
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