第四章 「ふりむかないで」

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 それこそが私が歌で詠んだまさにヤドリギ人生そのものだと思うのです。  これで自分の人生をきちんと生きた、とそう思うのです。                死、は怖いと思いますか?   もし怖い、と思うのならそれはまだ死ぬ時期ではない、と言うことです。  あの豪雪の日、一緒に死のう、と言った先生に対し、私は恐怖を覚えました。  何が何でも生きてあの人のこともこのまま終わらせはしない、そう気力を奮い立たせました。  あの瞬間、私の生命は確かに燃え盛っていました。  その生命は、身体をしなやかに躍動させなから豪雪に立ち向かっていった雪ウサギそのものだったと、今私は思うのです。
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