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あいつが無差別に人を襲い、血を吸いまくりだす前に、なにがなんでも探し出さなくちゃならないっていうのに。
「ハァ、ハァ、ハァ……くそっ!」
膝に両手をつき、肩で息をして、俺は再度悪態をついた。
携帯を取り出す。
既にあれから、2時間も経っている。
どくん、どくん、と心臓が高鳴る。
2時間もあれば、誰でもどうとでも出来るだろう。
だとするなら最悪の予想はさらに斜め60度くらいに下方修正しなければならないことになる。
息が乱れる。
汗がしたたる。
無理だった。
焦る。
「ハァ、くっ、ハッ、っ……くそっ……なんでだ、宮藤……!」
とにかくなんでもいいから駆け出せばいいんだが、だがそれでこの広い街の中からたったひとりを探し出せるわけがないとわかりきっている理屈がそれを邪魔していた。
そしてそれは直感もまた、そう告げていた。
こんな闇雲なやり方じゃ、ダメだ。
なにかしら、考えないと。
考えろ。
「ハッハッハ、ァ……ハァ、ハァ、ハァ……思い出せ」
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