41人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ、はあ......っつ、ちょっと!待っ......待って、あ、ああんっ」
「くっ、無理だ。」
ばちゅっばちゅっ
「あ、やだ、また大きくっ!ああ、だめぇ!っふ......も、無理ぃ。」
もう、勘弁してくれ。
霞んでいく意識の中、どうしてこうなるのかと考えていた。
だいたい僕は昔から付いてない。なんというか、本当によくある絵に描いたような不幸青年だ。
小さい頃に両親をなくし、本当に定番な事に引き取られた先の家族とは上手くいかなかった。
そして半年前、突然この異世界に迷い込んだ。
僕は、高校卒業後の独り立ち資金を貯めるため、毎日バイトに勉強とヘトヘトになっていた、雨の日に近道の林を突っ切る途中に足を滑らせ転んだ拍子に地面に頭を打ち付けた。
そこまでは覚えている。
目が覚めたら、この洞窟にいた。
なんでも、こいつが狩の途中に僕を見つけ拾って手当をしてくれたらしい。
こいつってのが、僕に絶賛乗っかり中のブラックドラゴンだ。そして此処はブラックドラゴンの住処である洞窟、僕も住んでいる。長い間一匹で寂しかったのと、人間なんてこの世界じゃ珍しいから危ないという理由で住めと言われた。
まあ、ブラックドラゴンであるこいつは向かう所に敵はなしの強さだ。大抵の事も魔法で。ちょちょいだし。不自由もない、少し楽しいし。
そんなこんなでのほほんと日々を過ごし、元の世界に帰りたい気持ちも薄くなりつつある今日この頃、なんとなくあっちじゃバレンタインだったなと思い出した。
いつも料理や掃除は僕がしていた、こいつも異世界料理をかなり気に入っているし、材料探しも冒険みたいで楽しい。ちょっとした魔法も使えたし。
だから、なんとなぁくバレンタインにちなんでチョコレートのお菓子を作ろうと思ったんだ。
ああ、言ってやりたい。やめとけって、チョコレートなんかじゃなく肉の塊とかで良いじゃんって、言ってやりたい。
そんな思考を巡らせながら何度も可愛がられぐちゃぐちゃになってしまった僕の身体はとっくに限界が来ていた、何故ブラックドラゴンのこいつの尽きることの無い性欲に火がついてしまったのか。
本当に勘弁してほしい。まだまだ元気な僕の中のこいつのモノは当分落ち着きそうにない。
何度目かの絶頂で僕は意識を手放した。
深く沈んでいく思考の中で僕は思った。
もう二度とチョコレート菓子は作らない。
ドラゴンが興奮するなんて聞いてないよ!!
最初のコメントを投稿しよう!