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新しい朝が来た。
酷い筋肉痛と怠さと戦っていた。
あと、隣で地面に頭を擦り付けるこいつがウザい。
「もう、いいって。」
冷たい声で許す事を伝えるが、頭を上げる事はない。ベッドの周りには僕のお気に入りの果物やお花、作り置きのお菓子が献上されていた。
いや、お菓子作ったの僕だし。
なんとなくもう許してしまってるんだけどね、何故か。
「なあ、なんであんな事したんだ?チョコレートってドラゴンにはヤバイものなの?」
漆黒の濡れ光る長髪に、キラキラした瞳、男らしい顔立ちに身体付き。ブラックドラゴンの時のしなやかな鱗や大きな身体もカッコいいけど、人の姿をしたこいつは正直男でも惚れ惚れする見た目だ。
この身体であんな事されたんだなぁ、って考えるのやめやめ!
顔が熱くなるのを、冷たい果実水を顔に当てて冷ましながら答えを待った。
「......あれ、お互いの気持ちが通じた番が食べる契りの実が入ってたんだ。どこであれを?」
は?何それ。知らない。
「どこでって、洞窟の裏の木に成ってたチョコレートを使って作っただけだよ。匂いも味もチョコだし......え?」
まさか、あれチョコじゃないの?
たしかにこの世界のチョコは木になるのかなって疑問もあった......どゆこと?
「契りの実はドラゴンと番の棲家に生える木だ。いつの間に生えたのか......くそっ、鈍過ぎだ!
契りの実はその2人専用だ、チョコをあげたいと思う気持ちが味になったのかもしれない。」
「僕、番じゃないんだけど。」
付き合ってないし。
「オレも......いや、こんな事になるとは思わなかったがその木は嘘は付かない。好き合った気持ちが実になる。それをもらって......自分の気持ちに気付いた、あの甘さにお前の気持ちも伝わってきて興奮し過ぎてしまった。その実は番の身体に子を宿す種を届ける。」
「え!!!」
「そこは我慢したから大丈夫だ!」
我慢って、マジか。
「なあ、オレと......その。今まで気付かなかったがオレは......その」
照れ過ぎだし。
最後までどうしても気持ちを言い出せない、このデカい男を見ているとお腹の下の方が熱くなった。2人の気持ちが実なる......か。
はあ。どうやら僕はとんでもない本気チョコを作ってしまったようです。
「いいよ、ずっと一生お前と居てやるよ。」
極甘なチョコレートが出来ちゃうくらい思い合っちゃってるだもんなぁー、もう仕方ないよね。
☆Fin
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