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文化祭まであと一ヶ月
そんなこと言われてもどうしようもない。
だいたい俺だってなにが原因なんだか、そもそも覚えてないんだから。
「お前等なー。いい加減にしないと、マジ怒るぞ」
サッカー部部室の端と端に背を向けて座り、お互いに口をきこうとしない幼馴染二人組、ってかぶっちゃけ俺、澤村陸と久喜徹也なんだけど、を睨みつけ、俺達共通の親友でもあり、先日無事我がサッカー部の副キャプテンに就任した多岐隼人は大きな大きなため息をついた。
「まったく、もー。だいたい何が原因で喧嘩してんだよ、お前等」
「忘れた」
「知るか。そんなもの」
多岐の質問に俺達二人はほぼ同時に口を開き、そんな答えを告げる。で、そのとたん多岐の拳が俺の頭に直撃。たぶんとりあえず手近にいたから俺のほうに飛んできたんだろうけど、なんかこれって不公平じゃないですか?
同じ質問に対し、同じような回答をしたのに俺だけに鉄拳が落ちるってなんなの。
不満の気持ちを最大限に表現して俺が多岐を睨み付けると、多岐は真正面からそんな俺の視線を受け取り、反対にすげえ顔して睨み返してきた。
ちょっと怖い。
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