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「あー、どれにしよう。迷っちゃう」
母上は目をきらきらさせて、今日のドレスを選んでる。父上はパジャマのまんま、コーヒーとフレッシュを混ぜていた。
「朝早くから元気だなあ。パーティーは夜からだっていうのに。気が早いんじゃないか?」
「何言ってるの! 善は急げっていうでしょ! ねえラハザル」
母上は、私にドレスを突き付けてくる。絵本のお姫様が着るような、ロングスカートのドレスだ。色は淡い紫色。上品だけど、私には合わないかも。
「ありがとうございます、母上。でも、これはちょっと。私は選びますので」
「はいはい。うーん、ラハザル」
母上が、少し上目づかいで言う。
「そろそろ、タメ口で話してもいいんじゃない? 私たち家族でしょ。もっと力を抜きなさいな」
「すみません、つい」
「ほらー! 改まっちゃって! 親子なんだから『ごめん』でいいの!」
母上が肩を叩く。私は笑って「ごめん」と言った。この家に来て、そろそろ1ヶ月。慣れたつもりでいたけれど、まだまだらしい。うーん、実の娘ならどうするんだろ?
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