2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
序章
シンデレラ
赤ずきん
白雪姫
ブレーメンの音楽隊
いばら姫
「素敵な童話よね」
ーーーほんと、素敵なお話ーーー
「ふぅ、いいお話だった」
一人の少女が満足気に本を閉じ、一言そう呟く。
本を持つ腕は大事なものを守るようにしっかり抱きしめ、その黒い瞳には憧れと夢を見ている様な輝きをしていた。
「そろそろ帰らなきゃ」
「今度はどんな本がいいかな」
本を棚に戻し、尻尾の様な横に纏めた髪を触りながら上機嫌で帰っていく。
ーーーふふ、貴方はこれからどんな世界に行きたい?
ロマンチックな世界
ファンタジーな世界
メルヘンチックな世界
それともーーー残酷な世界?
で、あるからしてここの文はーーーー
黒板に書く文字の音と、鉛筆でそれを書き写す音が響き渡る部屋に脇目も振らず本を見つめる少女が一人
髪を横に纏めたセミロングの茶髪、髪の隙間から見える黒い瞳は本の文字を追ってランランと輝いている。
「この部分を言ノ葉、読んでみろ」
「は、ひゃい!」
慌てていたのか、本を持ったまま急いで立ち上がる少女は何のことだか分からないまま戸惑っていた。
「また別の本読んでたのか?好きなのは分かるがしっかり授業も聞こうな」
「す、すみません」
言ノ葉とは本に夢中になっていた少女のようだ。
叱られることは良くあるようで
どちらかというと呆れている様子にすら見える。
ザワザワと笑い声が起きると共にチャイムの音が響く
「今日はここまで、しっかり復習しとけよー」
授業が終わり下校の時間、言ノ葉文香という少女は急いで身支度を整えると早足で学校をでた。
最初のコメントを投稿しよう!