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飯田さんは私の瞳を見つめ、左側の口端を持ち上げた。
「駄ぁ目。大島にはまだ早い」
「また子供扱いしたっスね」
私は唇を尖らせて柿ピーに手を伸ばした。かしゃりと乾いた音がする。
「だって子供だろ?」
飯田さんはこたつに肘を付き顎を乗せた。頬のシワが深くなる。私はその顔に缶を見せつけるように持ち上げ、一口呷った。
「子供は酒を呑みません」
くつくつと肩が揺れる。分かってる。こういう行動がガキっぽいんだってこと。
(大人の余裕が悔しい)
私は逃げるように視線を逸らし、柿ピーを一掴み口に放り込んだ。
「……大島」
笑みの残る顔が低い声で私の名前を呼ぶ。
「はい?」
再び視線を合わせると、長い指がちょいちょいと私を誘った。首を傾げて耳を近付ける。今日はどんなピアスをしてたっけ、なんて短い時間で考えた。
視界の端では銃と銃とが対峙する緊迫した睨み合いのシーンが流れている。
飯田さんは私の耳元に顔を近付けた。
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