カ・ン・セ・ツ

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カ・ン・セ・ツ

 俺の家に来ないかと軽い調子で誘われて、酔った勢いで軽くOKを出してしまった。途中のコンビニで更にビールやら酎ハイやらを大量に買い込み、ほいほいと付いてきてしまった飯田さんのアパートは五階建ての県営住宅みたいな昭和レトロなデザインで、階段や廊下の電気が所々点いたり消えたりしていた。 「俺の部屋、四階の奥なんだけど」  お酒の所為で目元を赤くした飯田さんが言う。 「はぁい。了解っス」  私は額に手を当てて敬礼のポーズを取った。 「エレベーターなんて洒落たもんはねぇから」 「ええっ?」  飯田さんは半眼になり、ギロリと睨んでくる。 「文句あるか? 大島」 「ありません!」  また同じようにかかとを合わせ敬礼のポーズを取ると、飯田さんはにやりと表情を崩した。 「よしっ。ついてこい、大島」 「はいっス」  長身の背中に続く。コンビニの袋は二つとも飯田さんが持ってくれていた。
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