110人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
カ・ン・セ・ツ
俺の家に来ないかと軽い調子で誘われて、酔った勢いで軽くOKを出してしまった。途中のコンビニで更にビールやら酎ハイやらを大量に買い込み、ほいほいと付いてきてしまった飯田さんのアパートは五階建ての県営住宅みたいな昭和レトロなデザインで、階段や廊下の電気が所々点いたり消えたりしていた。
「俺の部屋、四階の奥なんだけど」
お酒の所為で目元を赤くした飯田さんが言う。
「はぁい。了解っス」
私は額に手を当てて敬礼のポーズを取った。
「エレベーターなんて洒落たもんはねぇから」
「ええっ?」
飯田さんは半眼になり、ギロリと睨んでくる。
「文句あるか? 大島」
「ありません!」
また同じようにかかとを合わせ敬礼のポーズを取ると、飯田さんはにやりと表情を崩した。
「よしっ。ついてこい、大島」
「はいっス」
長身の背中に続く。コンビニの袋は二つとも飯田さんが持ってくれていた。
最初のコメントを投稿しよう!