カ・ン・セ・ツ

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「違ぇよ、大島」 「違うって何がっスか」  耳を擽るように飯田さんの声が笑う。タバコの匂いと頭の奥に響く低音。身体の芯がジンジンと痺れてアルコールがぐらりと回る。 「こっち」  長い指が伸びてきて私の顎を捕らえた。そしてそのまま、くい、と正面を向けさせられる。 「え?」  視点も定まらない至近距離で一重が細められるのが分かった。 「飯…………」  名前を言い終わる前に、飯田さんの唇が私のそれに重なる。 (!!!!!!)  突然のキスにぎゅっと目を瞑った。まぶたの裏に今日の出来事がすごい勢いでフラッシュバックして、そのままホワイトアウトする。  そして…… 「…………ふ」  薄く開いた唇から口内にふぅと息を吹き込まれた。
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