115人が本棚に入れています
本棚に追加
「違ぇよ、大島」
「違うって何がっスか」
耳を擽るように飯田さんの声が笑う。タバコの匂いと頭の奥に響く低音。身体の芯がジンジンと痺れてアルコールがぐらりと回る。
「こっち」
長い指が伸びてきて私の顎を捕らえた。そしてそのまま、くい、と正面を向けさせられる。
「え?」
視点も定まらない至近距離で一重が細められるのが分かった。
「飯…………」
名前を言い終わる前に、飯田さんの唇が私のそれに重なる。
(!!!!!!)
突然のキスにぎゅっと目を瞑った。まぶたの裏に今日の出来事がすごい勢いでフラッシュバックして、そのままホワイトアウトする。
そして……
「…………ふ」
薄く開いた唇から口内にふぅと息を吹き込まれた。
最初のコメントを投稿しよう!