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「なぁ。大島って普段も呑んでんの?」
「晩酌ですか? もちろん。そんなに料理はしませんけどキッチンドランカーっス」
「キッチンドランカーって小洒落て言っても、要するに、呑兵衛ってことだろ」
「キッチンで呑むだけで、大量に呑む訳じゃないっスよ」
飯田さんは「同じだって」と笑った。目尻にシワが寄ってほうれい線が深くなる。普段の怖い顔とは別人のくしゃりとした優しい笑顔。
「飯田さんこそ。呑兵衛なんスよね?」
「おう。そうだなぁ。酒とタバコ半々かな」
飯田さんの長い指がタバコの箱を弄んだ。
「タバコ。私も吸ってみたいっス」
東京に居た頃、友達のタバコを吸わせて貰ったことがある。ただ苦いだけで何でこんなものにお金を掛けるのか理解できなかった。けれど飯田さんのタバコなら美味しいような気がする。
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