放棄耕作地

3/3
前へ
/19ページ
次へ
こっちはこっちで、ゴミを減らすには一石二鳥なのだ。その地面の持ち主が、廃車や廃家電を何となく置いていたのだ。主にソ連人船員が群がったので、値段を付けたら売れていったのだ。それに味をしめた持ち主が、古物商として営業しだしたのだ。 そのうちに、彼らの国の政治体制が危うくなってきた。国土が広いゆえなのか、なかなか小回りが利かないようだ。赤字額が膨らんでいく大国は先が見えなくなってきた。 そんな時、その大国は崩壊してしまった。国のトップが辞任し、ソ連を作っていた共和国はバラバラになった。ガラスの破片のような国は負債を抱えている。激しいインフレは、国民の生活を圧迫している。どの店も、空の棚ばかりで商売どころではない。 国内で商品が手に入らないので、家計を預かる主婦たちは夫に商品を調達するように命じたのだ。船員をしている男たちが、仕入れ役をするようになった。 男たちは、物価の安い国で日用品や食品を買い付けた。工業国では壊れた製品や部品を手に入れて、それを船内で修理するのだ。機械類を修理できない者は男ではない国民性なのか、船の男たちは手先が器用である。 家でカミさんの尻に敷かれた男たちは、地元住民に後ろ指を指されながらも買い物リスト通りの物品を働きアリの如く集めるのだ。 そういう男たちが落とした金も、財源となってるので県も黙っている。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加