対岸貿易の拠点

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社長は愛人とオークション会場へ入り浸りで、奥さんと従業員が店番として切り盛りしている。その店では従業員の入れ替わりが激しい。いつしか、ブラック店と評判が立った。辞めた元従業員の口からは、セクハラ・パワハラの嵐だという。給料が20万円にもならないので辞めた元従業員もいる。その店は、若い人を入れ替えて営業をしてるのだ。 そのうちにそういう店が増えてきた。ゴミが高く売れると評判が立ったようである。一軒しかなかった店がこの通りだけで五軒になった。店の前にキャリアカーを止めて車を出し入れするのが当たり前になった。これも、地元住民の怒りを買う要因にもなった。 元々、田園地帯の中に集落が離れ島のように存在する場所だから、その集落は田んぼから離れた世界では生きられないムラ社会である。親戚の家ばかりで成り立ってる集落では、他の集落出身者を排除しながら営みを続けてきた。 そういう閉鎖的な集団の近所に余所者が進出するのだから、良い感情を持っていない。業者さんそのものが余所者なのに外国人が客として群がるのだ。地元住民にとっては、余所者のアジトである中古車店は、潰すべき忌まわしい存在でしかない。 業者側も商売を邪魔する田舎者でしかない地元住民は要らない存在である。この二者の溝を作る要因に方言がある。地元住民は自分が使ってる方言が全国で使われてると思っていて、単語の意味や訛りが違うと排除する視野の狭さを直す気がない所がある。他の集落出身者が集まっている店は、理不尽なクレイマーには毅然と対応するのであった。
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