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犯罪地帯
こういう店では社長が仕入れに出かけていて、従業員が店番をしている。外へ出ている社長には店内の事は従業員に任せているから、詳しくはわからない。
中には、店の売り上げ金を着服する者がいる。最初は、一万円札を一枚抜くのだが、バレなかったと勘違いして三万円、十万円とピンハネしていくのである。ドンドンエスカレートして、しまいには態度が大きくなっていくので流石におかしいと気づいた社長が、帳尻が合わない仕訳帳をその従業員に見せつけて解雇を言い渡すのだ。窃盗事件として警察へ届けるのかは、その社長次第なのだが、それを新聞に掲載される事は稀である。
他にも、普通の車で船員を乗せてあちこちと店を回り、店から紹介料を要請する者も出始めた。そういう白タクに対しても、経営者で構成する組合での議題となった。
そういう犯罪は店内に留まらなかった。車を買い付ける船員たちは、現金を持って徒歩や自転車で店を転々とする。無防備な彼らを襲って現金を奪う強盗も後を絶たないのだ。そういう犯罪は、新聞に掲載される。これが、地元住民を恐怖に晒すのだ。
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