2

2/22
385人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
そこに存在する事を誰も知らないんじゃないかと思う地味なライブハウスから電車で駅2つ、勝手に歩く俺の足は根元に蹴りを入れたら倒壊するんじゃないかと思える古い………昭和チックなアパートに辿り着いた ドアの合板がめくり上がってる 「ここお前の部屋?」 「うん、バイトの収入しかないからカツカツ、食費もあんまりないし馬鹿みたいに食うなよ、俺の胃は弱いぞ」 食べ物ないからとスーパーに寄ったがお惣菜売り場に売れ残った小さなサンドイッチ一つしか買おうとしない瑞希とまた喧嘩になっていた 「カップラーメン3つもいらないだろう」 「俺は腹減ったら眠れないんだよ、真夜中でも買いに出るぞ」 「じゃあせめて一個にしろよ、アパートに置いとくとネズミが美味しく食うぞ」 「食われる前に食えばいい」 「だから胃が弱いっての………」 "二割引"のシールが貼られたサンドイッチを袋から出す姿を、男の部屋にしては大きな姿見の前に座って眺めていた、鏡に映して相手を見ながら話すと二人でいるんだなと納得できる
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!