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翌日僕は遅番だった。
一時少し前にお店に入ると、早番の吉川くんと小嶋さんがいた。
「おはようございます」
僕は二人に挨拶をして、ポケットにダスターを入れた。
すぐに小嶋さんが、「お昼行ってくるから、よろしくね」と声をかけ、出かけて行った。
普段あまりシフトが重なる事がない吉川くんが、お客さんがいない時をついて小声で話しかけてきた。
「佐竹さんに誘われた……」
「何に?」
「夜のお供……」吉川くんは、さもイヤそうな顔をしていた。
「で、吉川くんどうした?」
「断ったに決まってるじゃん!」
「夜のお供ってさ、やっぱりアレの事?」
「だろう?ホテル指定してきたからさ」
「マジで?どういうつもりなんだろう」
「俺、今月いっぱいでココ辞めるからさ」
「え、そうなんですか?」
「いられないって、ココには」
お客さんがポロポロ入ってきたため、吉川くんとのお喋りは中断した。
僕は、高梨さんのご主人と佐竹さんの関係と、佐竹さんが吉川くんをホテルに誘った事を知り、頭の中がぐちゃぐちゃになると同時に、胸くそが悪くなってきた。
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