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遅番のはずの佐竹さんが、一時間近くも遅刻してきた。
「ごめんね~吉川くん。お昼行って」と、佐竹さんは悪びれた風はない。
僕には詫びはないのか!と、僕はさらに気分が悪くなってきた。
吉川くんと入れ違いに、小嶋さんがお昼から戻ってきた。
小嶋さんが佐竹さんに、「あれ~?今日は遅刻かなぁ~?」と、さり気なく責めていた。僕は内心、もっと責めてやってくれと思っていた。
確かに佐竹さんは、顔もスタイルも、高梨さんとは違う魅力があった。
高梨さんが白百合なら、佐竹さんは赤い薔薇だ。薔薇の棘を使って、男を好きに操る女だ。
僕は、高梨さんの気持ちを思うと、視界に入る佐竹さんの存在に、どんどん胸の中に黒い何かが溜まっていく、そんな気持ちになった。
そしてその佐竹さんの棘が、僕に向けられた。
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