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「え?時間ですか?あ~夜は勉強するくらいですかね」僕は適当に答えた。
「勉強~?そんなのいいよ。飲みに行こう!」佐竹さんは赤い薔薇のような唇で、僕を誘ってきた。
僕は、佐竹さんの何かがわかるかもしれないと、その誘いに乗った。
佐竹さんは、行きつけだと言う居酒屋に僕を連れて行った。
そこでは、佐竹さんが小上がり席を希望して、そこで飲む事にした。
生ビールとお通しが運ばれてきて、とりあえず乾杯して、ジョッキに口を付けた。
「鈴木くん、もうお酒飲める年なんだよね?」佐竹さんが確認してきた。
「はい、二十歳ですから」
「良かった。結構飲むの?」
「回数ですか?量ですか?」
「量」
「そうですね、量はイケると思います」
佐竹さんの唇が赤く濡れて光る。
「あら、それは楽しみだわー」と笑った。
「え?楽しみって?」僕も笑ったが、わざとらしかったかもしれない。
「だってさ、もし私が潰れたら、介抱してくれるでしょ」
ああ、そういう事か……と、僕は理解した。これは今夜は絶対に潰れる事はできないなと、覚悟した。
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