ー 3 ー

16/20
前へ
/69ページ
次へ
佐竹さんの飲むペースが半端ない。僕は、潰れないためにも、ゆっくり自分のペースで飲んだ。 「なに?鈴木くん、飲んでないじゃない!飲みなさいよ~」佐竹さんは、せっせと僕に酒を飲ませようとする。 もしかして佐竹さんは、酔ってきたふりをしているんじゃないか? 「佐竹さん、お酒ばかりじゃなく、食べてくださいよ。じゃないと変に酔いが回りますよ」僕は忠告したが、彼女は生からチューハイに変えた。 そして、着ていたロングのギャザースカートの裾をグイッとたくし上げ、太ももの途中まで丸出しにして、足を伸ばした。その爪先が、僕の胡座(あぐら)をかいた膝に当たる。 僕は冷静に、「佐竹さん、あまりお行儀が良くないですよ」と笑って言った。 「あら!鈴木くんてお利口さんなのね~私、利口で行儀がいい男って、大好き」 これ、完璧に僕を誘ってるよな。 「それはどうしてですか?」 「う~ん、その化けの皮を剥がしてやりたくなるの。ふふ」 高梨さんのご主人も、真面目そうで爽やかなタイプだったな。 僕はカマをかけた。 「佐竹さんって、他人(ひと)のモノを奪いたくなるタイプじゃないですか?綺麗だし、酔ってると色っぽいですよね」そんな事を話す自分に、寒気がした。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加